1 相当な地代・家賃とは
借地借家法11条2項及び同法32条2項は、地代・家賃の増減請求について、①地代・家賃の増減について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者(賃借人)は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、「相当と認める額」の地代・家賃を支払うことをもって足りると定めています。また、借地借家法11条3項及び同法32条3項は、②地代・家賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者(賃貸人)は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、「相当と認める額」の地代・家賃の支払を請求することができると定めています。
ここで、「相当と認める額」の地代・家賃をどのように算出するかが問題になりますが、「相当と認める額」の地代・家賃とは、いわゆる「継続賃料」をいうものと解されています。
なお、本コラムの本題とは離れますが、賃料減額請求を行使する者が当事者間に協議が調わない間、一方的に減額後の賃料を支払うと賃料不払いの債務不履行になるものと解されていますので(逆に言えば、従前賃料を支払うことによって債務不履行責任を免れることができます。)、注意が必要です(東京高裁平成10年6月18日等)。
2 「継続賃料」とは
不動産鑑定評価基準によれば、地代・家賃に関する鑑定評価には、新規賃料を求める場合と継続賃料を求める場合があるとされています。新規賃料とは、新たに賃貸借契約を締結する際の賃料で、市場の相場を反映したものです。一方、継続賃料とは、既に賃貸借契約を締結している当事者間で更新・継続する際に成立するであろう適正な賃料をいいます。
賃料の増減請求は、既に賃貸借契約を締結している当事者間において行われるものになりますので、上記のとおり、「相当と認める額」とは「継続賃料」を指すものと解されています。
3 「継続賃料」の算出方法
代表的な継続賃料の算出方法には、①利回り法(積算法)、②スライド法、③差額配分法等があります。裁判例は、継続賃料について、一つの手法のみによる算定を否定しており(最判昭和43年7月5日等)、上記算定方法はいずれも合理的であるため、個別具体的な事例ごとに適切な比重を配分しながら算出するという手法を採用しています。
4 賃料増額請求をする上での実務上のポイント
上記のとおり、「継続賃料」の算出方法には様々ありますが、最終的には、現行賃料と新規賃料の間に収まることになるため、いかにして新規賃料の資料を集めるかがポイントになります。新規賃料についてより高額かつ強固な資料を揃えることができれば、賃料増額請求が成功する確率が高まります。以上
